タイトルが仰々しいですが、素直な気持ちですべてのデザイナーさんにおすすめ!な一冊です!
「デザイナーとしてあるべき姿」みたいなものを考えさせられる本で、一生ものをつくろうと思っている方にはいつまでも役立つのではないでしょうか。
10年間なんども読み返している一冊です。
一部をご紹介します。
ふつう
いいふつうがつくれたら本当にすごいと思います。ご飯はふつうのものだから、ふつうのご飯がうまいってことは幸せなことなんです。ふつうが重要だってことをデザインする側はわかってきているけど、もっといけないのは依頼する側ですね。ふつうなものを出したときに、デザインをやっていないように見えるんですね。
人はものを買うときの期待値としては、ふつうを求めていないんです、わざわざお金を払うからです。でも生活に戻った時に急にふつうを期待するわけですよ。
意図を消す
自分の手は参加するけれども、自分の意思は参加していないでものができていくことを目指している。できれば現象だけがいい。意図がかたちに出てしまっているものが嫌いです。かたちは自分の意思表現ではなくて、そこにあった必然性ですから。
ゆで卵
ゆで卵を完璧にゆでることに凝っています。友達が来たときに、「ゆで卵食べる?」って訊くわけ。そして、とりあえず冷えたビールを飲んでもらって、それで、ゆで立てのゆで卵をだす。で、相手はびっくりするんです。それがうまいから。「お〜〜!」って。
そこまでにいっぱい失敗しているんです。上手くなってくると鮮やかなオレンジが透き通るようになったり、髪切っても弾力がゆっくりもどったり、塩味なんかもするようになる。
そうか、コツか。コツだ、コツ。コツはプロが知っている。コツを自分で発見するのは、簡単そうで難しい。だけど、プロも人に訊いたコツと、自分で編み出したコツがある。やっぱり自分が編み出したものは、すごいと思います。
週末小屋
アメリカにいるときに八ヶ岳に八百坪の土地を買いました。まず平らなところにテントを張り、そこから草を刈り始めました。小さな小屋と、おおきなデッキをつくりました。ここでやることはいろいろな勉強になりますよ、それがデザインの仕事にもけっこう生きる。
深澤直人さんはこの本の中で「デザインとは?」に対する答えをはっきりと明記していないので、自然と自分の経験と結びつけて「何が言えるのか」考えてしまいます。
ああいうことかな。これみたいなことかな。気づくと、自然と何かを考えながら読んでしまう不思議な本。
今一番印象に残っているのは、ゆで卵のお話の最後にあった「やっぱり自分で編み出したコツはもっとすごい。」という一文。
私は自分なりのコツを見つけ出すために、ちゃんと実践できているだろうか。実行できているだろうか。
そんな自問自答が自然と浮かんできました。
ビジネス書はとっても親切です。
「〜したいならこうすべき」というアンサーを冒頭に書いてくれているから。
でも、世の中に溢れている成功するためのHOWTO本や、フレームワークなどを手放しで信じすぎることなく、自分が一番成果の出せる自分なりの方法を考え続けていかなければ。とこの本を読んで改めて感じています。
- 作者: 深澤直人
- 出版社/メーカー: TOTO出版
- 発売日: 2005/11/10
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