名もなき部下より名もなき上司へ

名もなき上司へ

上司がたくさんの部下を面倒見てきたように、

部下もたくさんの上司を見てきています。

上司がたくさんの部下にダメ出ししてきたように、

部下もたくさんのダメな上司に、

ダメな環境に心の中で駄目出しをしています。

いい上司には、部下はダメ出しができます。

部下という立場からの意見にも関わらず、

真摯に意見を聞いてくれ動いてくれる人だと

部下なりに少ない経験からも判断しているからです。

部下が上司にダメ出しをするときは覚悟を持って

一言一言を選んで伝えようとしています。

自分には周りを変えられる力がないから、立場がないから、

どうにかしてもっとよくなる方法を上司に伝え、

理解してほしいという決意を持っているからです。

だめな上司には、部下はダメ出しをしません。

どんなにくるんで、包んで、時には感情的になって思いを伝えても

「部下のくせに」という対応で、

自分の意見が冷静に受け入れられず

ゴミのように捨てられる可能性があることを知っているからです。

そして「仕事ができないのに文句だけは一人前だ」

というレッテルを貼られてしまう危険があるからです。

多くの部下は短期間で、努力次第で

お金持ちになれるわけではないと知っています。

日本がまだまだ年功序列の社会だから

自分も早く年をとって稼げるようになるために、

今は努力して我慢して

お金以外の経験を積む時期だと覚悟しているからです。

多くの部下は部下であるときは金ではなく

自分の成長とやりがいのある仕事に貪欲なのです。

大バカな部下はお金のことだけを考えて働きますが

バカの部下はお金に、自分の将来につなげるために

今を自分なりに小さな器で努力しています。

そのために部下はいつもやりがいを探しています。

あの上司のために頑張りたい。

あの上司に迷惑かけたくない。

あの上司に褒められたい。

綺麗事に聞こえますが、

そんな気持ちがやりがいにつながっているのも事実です。

たとえそこにお金が発生しなくても、上司が一言

「ありがとう」

「とても役に立ったよ」

というだけですべてが救われる瞬間が部下にはあるのです。

部下は何も考えずに「辞めたい」というわけではありません。

時には家で、時には会社で誰にも悟られないように悩み、

泣き、不条理な怒りを抱えながら

やっとのことで「辞めたい」と口にします。

それはもちろん甘い決断かもしれません。

でも上司にも考えて欲しいのです。

自分のバカで何も考えていないような部下が初めて意見してきた。

それが「辞めたい」という言葉であったときに

バカにするのは簡単です。

でも、いい上司は

「この部下がどうしてその考えに至ったのか」

考えてくれます。

「この部下を成長させる環境をもっとつくれないか」

「出て行くのであれば最もいい送り出し方はないか」

「自分にできることはないか」

考えてくれます。

たとえ違う会社に違う世界に入ったとしても

部下は自分の過去の上司から教わったことを

新しい世界でも必死に成し遂げようとします。

部下にはその経験しかないからです。

そうやって大きくなった頃に、バカな部下はやっと上司に感謝し、

あの頃の自分を恥じ、新たに生まれた「自分の部下」が

どうやったらいい上司になれるか教育できるのです。

そうやって社会や会社にいい上司が溢れ、

いい会社、いい団体となっていくのです。

あなたは本当に部下にとっていい上司ですか?

あなたの部下はなにを言ってもわからない本当にバカな部下ですか?

どんなに素晴らしい上司もものすごくバカな部下だった時代があります。

それを忘れずに私たち部下を

自分のために、会社のために、社会のために

育てていますか。

それは社会奉仕ではなく、

最後に自分のためだということを理解していますか。

わたしも大勢のバカな部下の一人です。

それでもたくさんのいい上司、

ダメな上司に出会ってきた部下です。

そしてあなたの会社にいる部下も、そんな部下です。

上司であるあなたよりも

どんな上司がいい上司か、ダメな上司か、

とてもよくわかっています。

わたしは多くの上司の中で出会ってきたいい上司になるように

これから努力します。

こう思えるのはたくさんのいい上司が

無償でたくさんの教えを与えてくれたからです。

そしてダメな上司がどんなに頑張っても分かり合えないこともある

ということを教えてくれたからでもあります。

あなたはたくさんの部下に口出しされる、

相談される上司でしょうか?

それとも、誰からも何も言われない、

いつもにこにこして頷かれるだけの上司ですか?

いい上司が溢れる社会になりますように。

わたしは、

いい上司であり、

ダメな部下でずっといられるように

頑張ろうと思います。

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